全国省エネ推進ネットワーク

Vol.3見れば納得省エネ事例

省エネ事例③
生産工程まで踏み込んだ提案が成果をもたらし、
さらには自主的な取組も進むように

省エネの課題があることはわかっていても、今までのやり方や設備を変えるには決断が必要となり、省エネ取組はなかなか進まないことが多いと言われています。この事例では、別会社から引き継いだ工場について、省エネルギー相談地域プラットフォーム(地域PF)の専門家から提案を受けることで、生産工程まで踏み込んだ改善ができ、大きな成果をあげています。

社内のノウハウだけでは、省エネ対策にも限界が

I電器さんは、北関東で自動車のエアコンのコンプレッサ製造・組立や、クラッチやブレーキ用コイル等の製造を行っている企業です。県内に工場が4か所あり、うち1か所は数年前に別の会社から引き継いだものでした。

この工場は歴史があるもので、その積み重ねによるインフラはブラックボックス化、課題も山積み。その課題に対する最善の改善方法を決めかねていました。そうこうしているうちに電気代が4工場合計で年間4,000万円を超える金額となっていて、経営上の大きな課題となっていました。

I電器さんでは、元々副社長が先頭に立って省エネの取組を続けていましたが、新工場については抜本的な省エネ対策を行うには限界を感じていたので、以前から仕事で付き合いのあった省エネの専門家から地域PFの話を聞き、支援を受けることにしました。

取組の初期段階では、地域PFがどのような成果をもたらすのかがわからなかったため、まずは省エネ診断から受けてみました。

診断結果より
 ・簡単にできるもの
 ・投資が必要となるもの
 ・取組が困難なもの
の3つに分けた省エネ改善の提案を受けました。

専門家と一緒に取り組んだ改善

具体的な取組として、まず簡単に出来る空調のフィルター清掃からスタートしました。

一方で引き継いだ工場内は、頭上に張りめぐらされたケーブルや配管にタールが付着、湿気でこのタールが降ってくる状況でした。これを防ぐため、工場が休みの時も空調を24時間運転していました。タールの元になるミスト除去が課題であることは分かっていたのですが、最善の改善方法は何か、決断できない状況でした。地域PFの専門家の提案は、ミストが拡散する前に吸引する機械に投資をすれば、それ以上の効果が得られるというものでした。これが決め手となり設備投資をし、空調の運転時間を大幅に減らすことができました。

次に取り組んだのは工場に欠かせない圧縮エアー。

圧縮エアーを生み出すコンプレッサーは20年以上使われた年代もの。設備更新は大きな投資となることから、地域PFの専門家から提案を受けました。メーカーとの直接交渉では、ついその気になってしまいがちでしたが、自分たちの悩みや課題を把握してくれている地域PFが間に入ってくれることで、客観的に判断が下せると感じているそうです。さらに、提案をきっかけにエア漏れ改善の必要も分かり、そのメンテナンスにも取り組みました。

省エネから新しい生産工程や製品、そして価値あるものに

別会社から引き継いだエポキシ樹脂の成型工程については、確実性を重視して、省エネへの取組には消極的でした。

そこで地域PFの専門家に講師になってもらい、まずはエポキシ樹脂の基本原理を学ぶことからスタートしました。学んだことを基に工程の分析を行った結果、エネルギーの無駄を省く新たな生産工程の設計や、新しい製品開発にもつながったそうです。

これらの取組で成果が出たことで、当初の地域PFの専門家からの省エネ提案の他に、最近では社員からも新しい省エネ提案があがってきており、省エネが価値あるものと理解して取り組んでいると感じているそうです。

また、削減を期待できる費用について具体的に算出をしてもらい、「空調だけでも年間177万円削減できる」、など社員にも効果を分かりやすく見える化したことで、社員の省エネに対するモチベーションを高め、継続した取組につながっているそうです。

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