省エネお助け隊による効果的な省エネ支援について
室蘭テクノセンターは、平成20年から省エネ支援事業を地元の商工会議所や信用金庫と連携して推進しています。平成27年度には省エネお助け隊に採択され、これまで12件の省エネお助け隊の活動を含めて中小企業33社の省エネ支援を実践してきました。その経験を踏まえて、省エネ支援を効果的に進めるにはどうしたら良いか、感じてきたことをお話しします。
省エネ診断から効果確認まで“一貫支援”が省エネお助け隊の強み
従来の省エネ診断は、専門家1~2名が企業を訪問し1日5,6時間の診断で省エネ提案書を作成するというのが通常です。短時間の診断ですから、その多くがチェックリストの提供やパターン化された省エネ対策の提案になりがちなのは否めません。受けた方の中小企業は単独で実行するには技術的な面でも非常に難しく、成果を上げるには至らなかった事例もあったようです。
今回の省エネお助け隊は、省エネの診断から対策の実行、効果の検証までの一貫支援を特長としています。私どもも1企業に対して年間3~6回は訪問し、コーディネーターと専門診断員が二人三脚で支援を継続し、企業自らが省エネ対策のPDCAをスパイラルアップできるようになることを目的に活動を進めています。

専門家派遣予定も含めた年間計画書の作成
支援対象企業の発掘は、基本的には企業訪問がベースですが、金融機関、商工会等の連携事業体から企業を紹介してもらうこともあります。対象企業が決まったら、当センターの職員とコーディネーターが企業を訪問し、企業のニーズ、エネルギー使用量、売上高などをヒヤリングし、省エネポテンシャルなどを予測して、省エネの支援方針を作ります。ここから具体的なPDCAが始まります。
P(Plan)の段階で、熱・電気など必要な専門家を派遣して診断していただく。診断では省エネ案件が複数出てきますから、その1件ごとに期待効果、投資額、投資回収年、支援内容とともに、それ以降の専門家派遣予定を記入した年間計画書を作成します。

経営トップとの面談を原則に
次はPDCAのDCAの段階に入ります。とくに運用改善案件は投資額ゼロですから即実行が目標です。儲かること、コスト削減になることが分かれば、経営者はすぐに実行に移してくれます。ここで肝要なことは、具体的な手順、方法論も示しておくことです。
投資案件では、投資額、回収年などから実行時期を決めます。これは複数回の訪問指導になりますから、2回目、3回目に訪問した折に、また新たな案件が出てきます。そうした案件も年間の事業報告書にまとめ込んで作成します。同時に訪問回数が増えるたびに社員の意識改革が進み、企業との信頼関係が強固なものになって、より実際的な省エネ提案、実行に繋がっていきます。
特にこの省エネお助け隊で同じ企業を2~4年継続支援することができれば、その活動の中で担当者の人材育成に寄与できるでしょうし、イノベーションにつながる省エネ案件の発掘も可能になってくると思います。
私どもの省エネお助け隊としての活動を簡単に紹介しました。まず経営トップとの面談を原則に企業との意思疎通を図ること、そして丁寧な年間計画書を作り納得してもらうことが、この活動を効果的に進めるポイントになると、この間の活動で感じました。
